2014年6月15日日曜日

千葉県初のみんくるカフェ報告 第1回介護よろずカフェ「人生の最終章の医療を考える」



平成26年6月8日(日)13:30~16:00千葉大学で行った第1回介護よろずカフェの活動報告です。
介護よろずカフェは、医療・介護の専門職と市民・患者の非専門職を結び、健康や医療、地域づくりなど様々なテーマに対して、ともに学び、対話できる場みんくるカフェ(みんながくる場所)の手法を取り入れています。今、全国に広がっていて、千葉県では初の試みです。

今回初めての試みなので、ドキドキしていましたが、参加申込は18名、当日は14名でした。Facebookを中心に参加確認を行っているのですが、これから申し込みが増えた場合のことも含めて、限られた人数しか入れませんので、人数確定をどうするのか、考えないといけないな~と思いました。
参加職種は、介護経験者など市民5人、介護職4名、社会福祉士2名、作業療法士(学生も)2名、救命士1名でした。看護師さんからもお申し込みはあったのですが、職種も含めて、全部、その時々の出会いを大切にするのがみんくるカフェだから、とってもいいバランスだったと思います。
元々、みんくるカフェを始められたのは、東大の孫医師(家庭医)で、他県では、医師や医学生、医療者が率先して対話の場を作っています。人数も20名ぐらいが適当だし、千葉県でも、もっと、もっと、広がっていくといいですね。

ワールドカフェなんてやったことがないという方には、みんくるプロジュースが、ファシリテーター養成の講座を開催しています。私(藤田敦子)も、そこで学び、全国で開催へ向けて頑張る同志(医師が多かったですね~)を得て、神奈川県で開催されたカフェに初参加、そこで、千葉県内で勤務している作業療法士の肇ちゃんに出会い、今回の開催になりました。

場所は、第1回ということもあり、ピュアが活動を行っている千葉大学(西千葉キャンパス)の教室を用意し、文具やお菓子の購入、当日の受付や学校内案内はピュアメンバーがてきぱきと行いました。慣れている所で正解でした。場所とか、予算とか決めるのもありますが、最初はスタッフの人数は必要最小人数で十分だと思います。だんだん、カフェに参加した人の中から、ファシリテーターを勉強した人などが企画に残っていくと思います。機器操作は事前のチェックをせず、当日の朝早くから行ったのですが、DVDの音が小さくて、機器が一番大切だったかも…と反省中、次回につなげていきたいですね。

っと言っても、今回は3テーブルを準備しますので、ファシリテーターを講師の地域医療を育てる会に協力依頼しました。ピュアが主催者だったのでハードルが低かったのでしょう。参加者も、医療・福祉職でない、市民の参加もたくさんあり、初めての開催にしては、とっても深みのある気づきのたくさんある会になりました。これからも、「介護」を切り口にカフェを開催していきます。ご参加くださった皆様、ありがとうございます(^o^)


最初に、介護よろずカフェや高齢者の介護の問題点、人生の最終章の医療を取り巻く問題などを私より説明。そして、話題提供として「医療と市民の対話の場を作って」NPO法人地域医療を育てる会の相京邦彦さんから、東金地域での実践をお話頂きました。研修医の方がどんどん笑顔になっていく画像が良かったですね。次に、千葉県で作成した「終末期医療等に関する高齢者向け啓発プログラム」のDVDを上映し、他にも、いろいろな話題提供をしていきました。

休憩後に、さあ、10分X3回のワールドカフェの本番です。まずは総合司会の肇ちゃんが、お題を参加者に募ります。打ち合わせでは、題が出なかったらどうする?なんてことも出ましたが、暖かな昼下がりにこの話題で集まろうというメンバーですもの、どんどん出てきて、1.相談する場所は?知り方とイメージ、2.独居高齢者の問題、3.市民として何ができるかに決まりました。普通ワールドカフェは15~20分取るみたいなんですが、3カ所を別々のお題にしたかったので、10分にチャレンジ!

3つのテーマのうち、「相談する場所は?知り方とイメージ」で出た意見の一部をご紹介しますね。

・病院で退院して在宅で見たいと思っても、それを相談するとき、どこに相談すればいいかわからない。退院時にドクターからもあまり説明をされず、必要となり始めて院内を探しまわって、やっと地域連携室・相談室にたどり着いた。しかし、情報等があまり通っておらず、結局は丸投げになったりと、地域に出た時のサービスが病院での医療と分断されているイメージがある。相談室なども例を出してくれてはいるが、「自分がもっている、今の疑問はこれにあてはまるのだろうか?」などの不安があり、タイミングなどを逃してしまう、うまく利用できないなどの問題がある。病院の相談室は敷居が高いイメージがあるとの話があった。
・ドクターにもっと地域にどんな資源があるか知ってもらい、紹介してほしい。地域(福祉などのサービス提供者側)もドクターにアピールできるような仕組みが欲しいと感じている。最近地域に出てきてくれる、家庭医などの方もいるが「往診を行います」と言ってくれても、現在のかかりつけ医からの切り替えができにくい。義理を感じてしまい、往診が必要であっても医者を選べない。地域の医者の中でももっと利益などに拘らず、紹介し合うなどの情報交換があってもいいのでは?
・実際に介護をされている方が介護保険を利用する際、当事者の方は高齢でサービスの存在を知らない。家族が紹介されて利用してもらおうと当事者に提案するも、説明をどうしたらいいかわからない。そもそも、他人を家に入れることに抵抗を示すことが多く、説得ができない。しかもその話を家族の中で誰がするのか問題になることがある。家族にその決断を迫ると、その話し合いで普段関わりの薄い家族がその時だけ入ってきて、結局話はまとまらず、もめてしまう。そこで専門職に入ってもらえたらいいと感じることがある。


以上の様な病院の現状や医療職に対する疑問が多く話されました。人生の最終章の医療を考える前に、様々なハードルがあることがわかります。一部の地域では、顔と顔を合わせて、医療職や介護職の連携を図っている所、主治医・副主治医制を作っている所もありますが、「地域包括ケア」の体制を一歩一歩作っていくしかないですね。

他のふたつの話題は、そのためにどうしたらいいのかを出し合いました。

独居高齢者の問題では、「情報を伝えても、まず独居の方がどこにいるのか、その情報をどう知り合えばいいのか」「プライバシーの問題がある」「地方はお節介な人がいるだけでいいのかもしれないけど、都会はサロンとかたくさん作って、そこで情報を集め、提供する場を多世代交流で創る」などが出ました。回覧板など回らない人、人嫌いで付き合いのない人、認知症の人など、地域には困っている人はたくさんいます。ここでは、アクションの提案がたくさんあり、盛り上がっていました。救急の場合についても話題がのぼりました。

そして、市民として何ができるか?の中で、たくさんの問題を抱えているけれど、それをすべて専門職に解決してもらうのでなく、「自分」は何ができるのかを考えて、小さなことから始めていく意識が必要ではないか。これから空き家がたくさん出てくるので、そういうものを使って、コミュニティカフェを作って、情報を得たり、相談できる場を作っていく。既存のつながりがたくさんあり、わざわざ組織化しなくても使えるものはたくさんある。専門職もそこに住む一人の住民として自分の能力を提供してもいいのではないかなどの意見が出ました。人生の最終章の医療だけでなく、生き方、過ごし方、何を大事にしていくのか、そういうことをいろいろな立場の人で話し合えるといいですね。たとえ、独居の方が自宅で亡くなられても、周囲との関係性がある中での死なら、孤独死ではない、満足した生き方をされた上での死ではないかという意見も出ました。


ワールドカフェは、答えを見つける旅ではありません。医療・介護・福祉の専門職の視点と一般市民が対等に話し合う場、そして、そこから生まれる「自己変容」が大切なんです。また、出会いも一つの醍醐味ですよね。
今回、柏で介護者サロンをされている方も参加され、これから実践を始めようと考えている人たちにとって学びが深かったようです。また、意外とご近所さんだったこともわかり、、ローカルな話題で盛り上がったりもしました。

終了後のアンケートで本日の気付きなどを記入してもらいました。
「無関心が一番いけない」「素人でも素朴に見つめ聞き、少しずつ学び考えていきたいと思いました」「医療・介護・福祉、みんなが真剣に考えていることに気が付きました」「いろいろな方の話が聞けて良かった。その土地によっての状況に合わせて、進めていくことが大切と改めて思いました」「地域がつながることは大事だと思っても何もできていない現状の打破について先駆的な話が聞けて良かった」「自分のできることを行政、市民としての両方の視点で行動する」「多職種の方々との意見交換は自分にとっても大切で有益だった」「難しい医療(専門的な)話をする会かと思い緊張していましたが、改めてインフォーマルや市民と言ったもの、支え合いがとても大切だと思いました」との声が寄せられました。

人生の最期を自分らしく生きるDVDも、みんなから、わかりやすいと好評で、ほっとしました。今後は、このDVDを活用するプログラムも作っていきたいですね。

医療の問題は専門職にお任せでなく、市民も自分たちでできることを始めていく。そして、専門職同士もつながりを深め、市民との対話を行っていく。う~ん、素敵。1+1は2でなくて、もっと大きく広がっていく感じを参加者全員で共有できて、幸せな時間でした。次回のご参加をお待ちしておりますね(ふじた)。