2013年8月30日金曜日

フランス発の高齢者ケア「ユマニチュード」

8月24日に、フランス発のユマニチュード(ヒューマニチュード)の講演会に行ってきました。フランスのイヴ・ジネスト氏とロゼット・マレスコッティ氏が、35年かけて認知症の人のためにケアメソッドを開発しました。凄い、本当に驚きの連続でした。大事なのは哲学、そして具体的な技術です。一見、当たり前のケアのように思えますが、それが実際の現場では実践することができず、拘束されたり、無視されたりしていました。それが、このケアメソッドで穏やかな表情に変わっていきます。日本で研修を行える体制作りが始まりました。終了後に、ジネスト氏に、「院生で、自分らしく最期まで暮らしたいが研究テーマ」と伝えたら、「僕もだよ」と言われました。嬉しいです(^^)。国の関係者やメディアもたくさん来ていました。認知症ケアが変わりますね\(^o^)/

8月28日に、毎日新聞「私の社会保障論」に国際医療福祉大学大学院 大熊由紀子教授が、「魔法」の高齢者ケア フランス発 国境超える「ユマニチュード」と紹介していました。一部、抜粋しますね。

◆◇「魔法」の高齢者ケア/フランス発、国境超える「ユマニチュード」◆ 大熊由紀子 国際医療福祉大学大学院教授
まるで魔法のようでした。
丸2年間、ベッドから起き上がろうとしなかった90歳の女性が、実に楽しげに、歌いながら歩き始めたのです。(略)
ユマニチュードは、「ケアすることとは何か」という問いに始まる人間哲学に裏打ちされた150を超えるテクニックの集大成です。母国フランスでは、400以上の病院やケアホームで利用され、スイス、ドイツ、カナダと国境も越えています。秘密は、誰でも身につけることができるワザにあります。例えば、(略)
 最近、高齢者の入院が激増しています。高齢者は叫んだり、暴れたりしますが、それはスタッフを「暴力を振るう敵」と思い込むからです。(略)
 体験した看護師たちは「目に見えて患者さんが笑顔になるので、うれしくなります」「管を入れる必要が本当にあるのかを考えるようになりました」「つらいから辞めようと思わなくなりました」とこもごも言います。(略)
 安全第一、利用者が自尊心を持った人間であることを忘れがちな病院や施設の文化を変えるときが来ているようです。

〇職員研修と効用
フランスでは、従業員10人以上の企業や医療福祉機関は、人件費総額の1.5%を職員の研修に充てなければならないと法で定められている。ユマニチュードの4日間の研修に190万円かけたあるケアホームは、ケアの質の向上で医療費が3800万節約でき、差し引きプラスになったと報告している。