2011年8月26日金曜日

第23回がん対策協-来年度予算要求決まる

NPOピュアの藤田敦子です。
昨日は、厚生労働省で行われた協議会を傍聴してきました。
CBニュースも、NHKニュースも、小児がん(報告書)と在宅緩和ケアの実態調査にスポットを当てて、紹介しています。前回、予算要求に関する意見書が各委員から提出されていて、そこから選ばれたものが今回出されています。緩和ケア専門委員会からは今回意見書が出ていますので、8月末までに追加を行っていくようです。
他には、天野委員が、全国都道府県にアンケートした内容(PDF)が衝撃でした。昨年から入れた「地域統括相談支援センター」は風前の灯ですね。予算をとっても、使われなければ、財務省にばっさりと切られるのが関の山。たとえば、国の予算がなくても、行っているのなら、なおさら、予算は削られます。そういう意味では、緩和ケアの研修も、もっと行ってほしいものです。

これから、1ヶ月に2回ほど開催されていきます。話し合う内容の中に、ピュアを含む30の患者会が提出した意見書の通り、ドラッグラグや就労・経済支援、サバイバーシップ、検診が入りました。今後のスケジュール(PDF)

介護保険のアンケートのまとめが遅れていますが、7月の日本ホスピス・在宅ケア研究会で行った中間報告をベースに意見を提出する必要性を痛感しています。今月中には、老健局へ必ず行き、話し合いを行っていきます。また、患者委員からがん対策協への提出も視野に入れていきます。


小児がん・緩和ケアに予算を(NHKニュース)8月25日 23時53分
国のがん対策を話し合う協議会が開かれ、対策が遅れている小児がんと緩和ケアなどの医療体制の整備に必要な費用を来年度の予算に要求すべきだという意見をまとめました。

この協議会は、4年前に施行された「がん対策基本法」に基づいて国のがん対策を話し合うもので、25日の会議には、がんの治療に携わる医師や患者代表などの委員と厚生労働省の担当者らが出席しました。会議では、まず、対策が遅れている小児がんと緩和ケアの専門委員会での議論の内容について、それぞれの委員が報告しました。この中で、▽小児がんの専門委員は、全国各地の医療機関で治療レベルに大きな差があるため、患者を集めて専門的な治療を行う拠点病院を整備すべきだなどと主張しました。また、▽緩和ケアの専門委員は、がん治療に関わるすべての医療従事者を対象に研修を行うべきだなどと述べました。そして、協議会では、小児がんの拠点病院の整備や在宅のがん患者への緩和ケアの実態調査などに必要な費用を来年度の予算に要求すべきだという意見をまとめました。協議会では、今後も来年からスタートするがん対策の新たな基本計画に、小児がんや緩和ケアなどの対策を盛り込むことを検討していくということです。

2011年8月24日水曜日

がん診療連携拠点病院の「連携」って??

NPOピュアの藤田敦子です。

今日は、朝から車で、千葉県がんセンターへ行き、3つの用件をこなし、そのあと、豪雨の中、2時間かけて、柏の国立がんセンター東病院へ向かいました。あまりの豪雨に、約束の時間を完全にオーバーしたので、目的地をあきらめて、東京慈恵会医科大学附属柏病院で合流し、先ほど、戻りました。ご心配くださった皆様、無事に戻りました。今日はありがとうございました!それにしても、千葉市内の豪雨と、柏地区の晴天と、同じ千葉県とは思えない天気の違いに、茫然とした一日でした…。いやはや、疲れました。

さて、千葉県がんセンター主催で、10月15日(土)13時から、京葉銀行文化プラザで、「ここがすごい!最新の抗がん剤事情」という公開セミナーが開かれます。詳細は、ホームページにアップされたら、改めてご紹介しますね。

この公開セミナーを開くにあたって、患者会・支援団体から話を聞きたいとお話があり、伺ったのですが、私の関心は3つあって、その中の一つが、がん診療連携拠点病院の「連携」ってなんだろうということなのです。

たとえば、ずっと長い間、総合病院の泌尿器科にお世話になっていて、今回、がんが見つかったとします。主治医に不満はないのだけど、できれば、手術でなく、放射線で治療をしたいと思った時に、今、かかっている病院では希望する放射線治療ができなくて、千葉県がんセンターにある場合は、主治医も変えて千葉県がんセンターに移らなくてはいけないわけですよね。
主治医をそのままで、放射線のみ受けたいと思っても、千葉県がんセンターでも、たくさんの患者さんが放射線を受けるために待っているわけで、放射線治療医がいて、単独に外来を持っていれば、可能かもしれないけれど、受診のキャパがあるわけで・・、実際のところ、こんなケースってありますか?どうされていますか?ということを質問してみました。そして地域にある開業医との治療の連携についても質問してみました。

ほかにも、「がんセンター」という言葉の重み、患者がその言葉から描く理想の医療の姿もお話しておきました。治験や未承認薬をどうとらえるのか、千葉県がんセンターとして、どう取り組むのか、なんてこともお伝えしました。

在宅との連携の前に、治療のところの連携をどう描いていくのかが、一番大事ではないかと思っています。

家族としては、今回のイレッサ問題で、副作用なのかどうか、その辺をとても迷うと思うので、その見分け方、抗がん剤治療の中止の基準をしっかりと押さえておきたいと思いました。 

ほかにもいろいろと、藤田語録が炸裂していましたが(笑)、ほかの患者会・支援団体の意見も取り入れながら、内容を煮詰めていくとのことでしたので、楽しみにしてくださいね。

当日は、患者会ブースに出展していますので、お立ち寄りください。では!!

2011年8月23日火曜日

緩和ケア専門委 報告書案まとめる

CBニュース(キャリアブレイン)からの情報です!

「診断時からの緩和ケア」へ必修化や加算も- 専門委が報告書案

 国のがん対策推進協議会の「緩和ケア専門委員会」(委員長=江口研二・帝京大医学部内科学講座教授)は8月23日の会合で、次期がん対策推進基本計画の策定に向けた報告書案を取りまとめた。終末期に限らず、がんと診断されたときから緩和ケアが提供される体制を目指し、臨床研修段階での必修化や診療報酬加算の充実などを提案している。

 報告書案では、今後の緩和ケアの方向性について、▽がんと診断されたときからの緩和ケアの実施▽地域における緩和ケアの提供体制▽専門的緩和ケアの提供体制の拡充▽緩和ケアに関する質の評価▽緩和ケアに関する卒前教育-の5つの課題を指摘した。
 これに対する6つの提言では、それぞれの課題に必要な体制整備を強調。「がん診療に携わるすべての医師・医療従事者に基本的な緩和ケア研修を実施できる体制を整備する」「地域における緩和ケアを提供するための連携体制(ネットワーク)を速やかに構築する環境を整備する」などを掲げた。

 その上で、実現のための具体策も提示。診断されたときから始まる身体的・精神的・社会的な苦痛を緩和するためには、患者に接するすべての医療者が、基本的緩和ケアを修得する必要があるとして、基本的な緩和ケア研修を臨床研修医の必修項目とすることを提案。また、「がん性疼痛緩和指導管理料」などの診療報酬上の対応を充実させることで、研修医以外に関しても受講促進のインセンティブにすべきだとした。

 このほか、専門看護師や認定看護師らによる相談窓口を、すべてのがん診療連携拠点病院に設置することや、都道府県拠点病院には精神腫瘍医を常勤配置すること、各都道府県のがん対策推進協議会に緩和ケアの専門部会を置くことなど、体制強化を図るための対策を示した。これまで十分な調査が行われていなかったケアの質の評価については、大規模な遺族調査を定期的に行うことを盛り込んだ。

 この日の協議を踏まえて報告書として正式に取りまとめ、25日に開かれるがん対策推進協議会に提出する。


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8月25日に開催されるがん対策推進協議会の傍聴を申し込みました。
楽しみです。藤田敦子
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2011年8月16日火曜日

「終末期における緩和ケア」神奈川で講義

NPOピュアの藤田敦子です。

社団法人かながわ福祉サービス振興会より、「終末期における緩和ケア」のお題を頂きました。ロングラン講義です。10時~16時半、約1時間の食事の時間を入れますが、5時間半講義することになります。

講義目標としては、「がん末期について理解を深め、医師・ケアチームと情報や理念を共有し、患者(利用者・入所者)と家族に十分な説明をすることができ、「いい人生だった」と思って頂ける最期を提供できる介護職になれる」です。

内容として、下記を準備しました。
終末期医療のあり方に関する懇談会から
がんを知ろう
がん末期とは
緩和ケアの概論
がん末期の利用者への支援
事例検討(グループワーク)
痛み以外の症状
施設の中での看取り
グリーフケアの考え方 *予期悲嘆


終末期医療に関する問題に対する知識は、介護職の方は「よく知っている」が4.0%と一般の人より少なかったです。「詳しくないが少し知っている」が62.9%なので、まあいいですが、本当に理解ができているのかはわかりません。モルヒネについての知識もありません。これでは、がん患者のターミナルに寄り添える専門職にはなれませんね。

利用者の方が、どんな状態なのか、どの位置にいるのか、副作用やこころの揺れにどう寄り添ったらいいのか、また、在宅と施設での看取り、家族や仲間にとっての予期悲嘆など、情報満載でお届けする予定です。

すでに、レジュメは作り、主催者にお送りしました。
レジュメが、今後の資料になるように作ってあります。

詳細は、社団法人かながわ福祉サービスのホームページで講座申込みでご確認くださいね。受講料は振興会員は8000円、一般は10,000円になっています(この振興会の標準の受講料のようですね)。

8月22日に参加される皆様、会場でお会いしましょう。

2011年8月8日月曜日

対人援助職トレーナー奥川幸子氏に学ぶ

NPOピュアの藤田敦子です。

5月から、月1回のペースで開催されている、奥川幸子先生のグループスーパーヴィジョンに参加している。奥川先生は、24年間、老人医療の現場で医療ソーシャルワーカーとして勤務され、1984年からグループスーパーヴィジョンを開始されている。1994年から現在まで「介護力強化病院連絡協議会(現・日本療養病床協会)ソーシャルワーカー部会顧問。2007年4月より日本社会事業大学専門職大学院客員教授。ほかに国際医療福祉大学大学院乃木坂スクール講師、学習院大学社会学部非常勤講師などをされている。

偶然、千葉県の医療ソーシャルワーカー協会50周年記念にゲストとして参加し、そこで奥川先生の講演を初めてお聞きした。私の知っているソーシャルワーカーとは全然違う、はっきりとした物言いにびっくりし、その後、国際医療福祉大学大学院乃木坂スクールでそのお名前を目にし、日頃、NPOの中で「ターミナルケアの相談員」として行っていることの検証や自己成長のために、スーパービジョンを受けたいと直訴して、実践研修を受けている。

7月はちょうど施設の相談員からのターミナル事例だったが、私自身が行っていることは間違っていないことを確信できた3時間だった。これは本当に嬉しかった。ただ、対人援助専門職として真のプロフェッショナルになるには、私自身の大きな成長が必要だということも実感した。自分自身が可能にしていることを「言語化」し、他者が吸収し成長していくことをサポートしていけて、初めてプロの階段を歩いていくのだと思った。

奥川先生は、25年の実践の後に、『未知との遭遇~癒しとしての面接』を出され、その後、10年の歳月が経た後に、『身体知と言語~対人援助技術を鍛える』(なんと712ページ)を出されている。まず、本の厚さに圧倒され、言語にクラクラしてくるが、ここに書かれていることは、ソーシャルワーカーでなくても、相談支援やコミュニケーション力を発揮する必要のある人に必見ばかりだった(まだすべてを読みこめていないが、次回の講義までには読破する予定)

この春にデンマークへ行ってきたと何回も書いているが、そこはプロがいる世界だった。子供が生まれると、一人、家庭医(かかりつけ医)を決めていることは結構知られているが、ソーシャルワーカーを決めていることは知られていないのではないか。医療と相談支援。これが、この世に生を受けて、必ず必要になるものだと、デンマークの人々は知ってる。

これから日本は、地域包括ケアの世界へ入っていく。クライアントの真の悩み、希望を受け止め、それを可能にしていくためには、エンド・オブ・ライフケア(ターミナルケア)を理解している優秀な援助者が必要になってくる。

奥川先生のスーパーヴィジョンに参加して、事例検討からの気づき、学びが一番であり、そしてできれば、さまざまな視点(職種や場所など)が入ってきたほうがおもしろいし、勉強になるとより深く思うようになった。

私自身も講師として講義・演習を行っているが、一人でも多くの人がクライアントの「自律」を支援できるようなプログラムを開発できるよう、これからも切磋琢磨していきたいと思っている。

2011年8月5日金曜日

がんサロン手引書に30冊の注文が!

NPOピュア藤田敦子です。

8月2日の電話相談は、メールが2件、電話が2件。
そのうちの1件は、「無事に家で最後まで過ごすことができました!(家で看取ったということです)」というお礼のメールでした。こういうご連絡があるから、相談事業を続けていけるのかもしれませんね。

さてさて、先日書いた「がんサロン~がん患者と家族が明日を生きるために」ですが、他県の方から、10冊、6冊と「がんサロンの講習会時に資料として使いたい」、「新しく地域がんサロンを始めたいので実行委員みんなで勉強したい」というお申込が続き、るんるんしておりました。

今日も電話が鳴って、「がんサロンの冊子はどういう手続きをすればいいのか」というお問合せに、「1冊500円と送料の実費を頂きます。送り先、部数、請求書名をお教え頂き、がんサロン小冊子に同封した郵便振替か銀行口座に振り込んでいただく形です。領収書が必要でしたらお出しできます」とお答えしましたら、ななんと30冊のご注文が!!!!!

全国にがんサロンができていけばいいなという思いで作った「がんサロン」の手引書です。

もっともっと多くの方に知っていただきたくなりました。
がんサロンの申込チラシはこちらです!