2010年11月30日火曜日

在宅がん緩和ケアボランティア養成研修は終了しました

藤田敦子のひとり言(ピュアの活動)

バタバタと過ごしていますが、今年度も、「2010在宅がん緩和ケアボランティア養成研修」を行い、無事、終了を致しました。

22名の受講生が、3日間全6回を通して、がん、緩和ケアについて、ボランティアの心構え、聴くということ、遺族体験から学ぶなどを学習しました。

この研修は、講師から学ぶだけでなく、受講生同志がお互いを知り合い、高めあうための仕掛けをいくつも入れています。今回は、「がんサロン体験」も入れてみました。最後に、「患者と家族を支えるとは」「ボランティアとして何が必要か」についてワークショップもしました。
充実した講習になったと思います。

毎回22名から26名の受講生がいて、ヘルパーやたすけあいのボランティア、ケアマネジャーの専門職から、患者・家族・遺族の立場の方と多彩な顔ぶれで行ってきました。

診療所や病院でのボランティア活動に入っている人もいれば、仕事にいかしている人もいます。先のリレーフォーライフではアロママッサージを届けてくれた人もいますね。160名近い卒業生が学んだことを忘れずに、「家でも大丈夫かな?」という市民の意識改革や手足となって動いてくれることを望んでいます。

来年、千葉県の事業が継続するかは微妙ですが、船橋で「がんサロン」も始めましたし、船橋市立医療センターで「ホスピスボランティア」として動いてもいきます。ピュアとして仲間を増やしていく時期でもありますね。

さあ、次は、千葉県、千葉県がんセンターと共催のフォーラムの広報を始めていきますね。

2010年11月24日水曜日

がん対策推進協議会 動議でなく深い議論を

藤田敦子のひとり言(がん対策・緩和ケア)


「がん対策推進協議会」で「動議」が出て、大事な会議が中断しました。今も奥様が継続されているHPに、基本法を作った後の山本孝史さんの思いがあります。山本孝史 いのちのバトン~そして、あなたへ~。その中で、2007年4月8日に、がん対策推進協議会がスタートした後、協議会への思いや国のがん対策への意見をまとめられました。ぜひ読んで下さい。

「がん対策推進協議会」での「がん対策推進基本計画」議論を注視!

ここでは、「協議会の役割は、①がん対策推進基本計画に盛り込む施策を決めること、②当該施策の具体的な目標及びその達成の時期を定めること、の2点です。」と書かれています。
さまざまな「制約」を乗り越えて、重点施策(「戦略指標」)を、明確にして、それらの重点項目について、現行制度の見直しや必要な法整備の検討を含めて、協議会で継続して議論を行うように、基本法に明記してほしいと望んでいました。また、委員の創意として「医療費抑制策への転換を求める」という表現を答申に盛り込んでほしいとも、書かれていましたね。思いを十分かなえる一次基本計画になったのか。積み残された課題がありますが、それは今定めている二次基本計画に入れていかなくてはなりません。

山本さんは、協議会を傍聴して、患者関係者にも注文をつけています。「窮状を訴えるだけでなく、どのようにしたら前進できるのか、どんな政策があれば良いのかを提言する能力を持つことが不可欠だと痛感します(2007年4月18日)」「患者(団体)の側も、医療制度の仕組みや、これまでの「医療政策」を勉強して、的確な意見を発言することが求められています(救える「いのち」のために2008年1月)最初の協議会には、進行がんの島根県の三好さんが、地方からの切実な声を、本当に力強く発信されて、患者が入る意義とはこういうことかと本当に思いました。

現在、がん対策推進基本計画中間報告書が出され、施策の評価・見直しをついての議論が行われています。この議論を踏まえて、平成23年度に最終報告が示され、基本計画の変更が示され、国会を通し、平成24年度より新計画がスタートします。山本さんが書かれているように、全体目標を2つでいいのか、重点的に取り組むべき課題や分野別の指標は今のままでいいのか、話し合わなければいけない内容はたくさんあります。基本計画の変更に係る論点にもいくつも出されていますが、それを整理していくことになります。

今後、専門委員会(現在は、がん研究と小児)とは別に集中審議が行われていきます。今出ているのは、がん診療連携拠点病院、緩和ケア、放射線・化学療法、がん対策指標、在宅医療で、12月10日は、がん診療連携拠点病院について話し合われることになっています。年に1回、指定に関する会議が開催されていますが、拠点病院のあり方や役割を確認する機会でもあります。関係者からのヒヤリングもあります。指定要件の見直しなどの提言は、別途、検討会等が作られて話し合われることになりますが、積極的に見直しに向けた意見を言ってほしいですね。

国会がん患者と家族の会も尾辻先生が音頭をとり、復帰したようですね。前回入れられなかった「がん登録」について、前向きな議論もしてくださいね。患者委員の皆様、集中審議は大変だけど、がんばってください!

2010年11月21日日曜日

第15回がん対策推進協議会 次期基本計画はどうなる

藤田敦子のひとり言(がん対策・緩和ケア)

先般の第15回がん対策推進協議会は、荒れました。議論が活発ならいいのですが、予想もしない「緊急動議」が出て、協議が中断しました。事務局の落ち度ですね。これだけ、運営についての意見が出ているのに、何もフォローしないで進めようとしているのが、間違いなんだと思います。大事な基本計画の改正です。いのちをかけてがん対策基本法を作った山本たかし議員は、今の状態をどう思っているでしょうか。 あってはならないことが起きてしまいました。

有志委員からの運営の見直しに関する意見書ほか
垣添会長から提出された改善を求める文書


協議会では、国立がん研究センターで実施している「がん相談対話外来」の実施体制が報告されました。相談支援センターの拡充というより、セカンドオピニオン外来の拡充というほうがあっているような内容ですね。配置された職種は、まさに緩和ケア外来に必要な職種です。今後、がん患者必携を渡していくときの体制も考えていかなければいけませんね。


他には、がんプロフェッショナル養成プランの中間評価も報告されました。総合評価では、1位千葉大学、2位東京大学、3位大阪大学でした。へえーでした。

今後のがん対策推進協議会の進め方は、専門委員会の設置と月に1~2回の集中審議が提案されていました。次は12月10日(金)がん診療連携拠点病院のあり方になっています。専門委員会は、当初のがん研究以外に小児がんも入りました。学会や親の会から要望がだされました。

私が入っている「終末期医療のあり方に関する懇談会」でも、親や家族への支援(家族・遺族ケア)を入れました。こちらの報告書が出ましたら、また報告します。垣添会長は、患者であり、家族・遺族の気持ちもわかる方です。この新聞記事に書いてある「悲嘆ケアの研究」を応援したいです。家族を支えることも、とても大事なことです。辞めないでほしいと願っています。

がん対策推進基本計画の変更に係る論点では、中間報告で指摘された内容が列記されています。中川委員から、緩和ケアを早期から導入し、うつ症状やQOLを改善すると生存期間の延命が得られるという論文の発表がありました。

今後の計画変更に係る協議会のスケジュールは、とても仕事を持っている人にはこなせないようなスケジュールですね。また、委員の任期は2年ですので、来年3月までの人もいます。4月から新しく委員になった人が、会議についていけるか疑問が残りますので、専門委員会などに早めに入っていくことはできないのでしょうか。

初めて、患者関係委員がたくさん入り協議されている「がん対策協」です。介護保険の会議では、国にお金がないために、利用者負担が増える案が厚生労働省から示され、失望が広がっています。がん対策以外に、肝炎対策の協議会も始まっていますから、「患者からの要望」も広がっています。
未来に希望が持てる結果になってほしいですね。財源問題は大事だから、どうしていくのかについても、各審議会で話し合ってほしいものです。

2010年11月18日木曜日

がんからの出発 船橋がんサロン本村幸広さん

藤田敦子のひとり言(緩和ケア・がん対策)

11月13日に、在宅がん緩和ケアボランティア養成研修の2回目を行いました。今回は、船橋がんサロン「ここにおいでよ」の模擬体験と、ホスピスボランティアについての講義・演習でした。

船橋がんサロン「ここにおいでよ」は、毎月1回月曜日の午前に、船橋中央公民館を使って行っているがん患者と家族の為のサロンです。
ファシリテーターは、大腸がん患者の本村さんが行い、乳がん患者の松尾さんは、申し込みの受けなど事務一般を行い、私はアドバイザーとして一歩引いた形で開催しています。終了後に振り返りを毎回行い、アドバイザー兼小言係の私(笑)から、全体のこと、新規の方への対応やファシリテーターのあり方などを提案し、3人で確認しながら行っています。
5月から始めて、最初は18名、その後も8名~15名ぐらいを行き来しています。曜日は固定ですが、公民館の予約の関係で週を固定できないのが悩みです。
でも、人をたくさん集めることが目的ではなく、いつでも誰かがいる、仲間がいる、そんな場を作りたいという思いで始めましたので、大嵐になって一人も来なくても、それでもいいんです。

ラジオNIKKEIで18時45分から、“がん〟からの出発~いのちをみつめてという番組が始まっています。水曜日は、ジャパンウェルネスの大井さんの司会で、患者さんの体験談コーナーになっています。
11月17日(水)は、船橋がんサロン世話人でもある本村幸宏さんの体験でした。オンデマンドで聞くこともでき、11月17日のところをクイックしてくださいね。

いつもお話を聞いているつもりでしたが、改めて聞いてみると、本当に大変な時期を乗り越えてこられたことがよくわかりました。頭で理解できていても、オストメイトになった時の衝撃ははかりしれないものがあります。今、病が再度本村さんに試練を与えようとしていますね。今日、そのことを直にお聞きしました。ゆっくりゆっくり、どうしていくのが一番いいのか、気持ちは変わらないのか、何がそうさせているのか、そんなことを、ゆっくり、また聴かせてくださいね。決めていくのは、本村さん自身。どんな結論になろうとも、私たちピュアやサロンの仲間は、あなたの選択を尊重し、そばにいますから。

船橋がんサロン「ここにおいでよ」に、本村さんの手記も掲載しています。
次回は、12月13日(月)10:00~11:30 第6集会室です!

PS:松尾さん、藤田も別の番組ですが、ラジオ収録初体験をしました。
   2010がんチャリティの参加団体紹介で
   ニッポン放送11月29日(月)12時59分から1分、団体紹介をします。
   

2010年11月9日火曜日

第34回日本死の臨床研究会「地域で支える」で発表

藤田敦子のひとり言(緩和ケア・在宅ケア)
11月6日(土)・7日(日)に、岩手県盛岡市で第34回死の臨床研究会年次大会が開催されました。
大会テーマは、「地域で看取る」
6日は、東京で開催された「がん政策サミット」に出たために、参加できず残念でしたが、「おくりびと」の青木新門氏、「奇跡のりんご」の木村秋則氏の講演もあり、充実した内容でした。他に、グリーフケアや「地域で看取る」講演やシンポジウムがありました。

「地域で看取る」「地域でつなぐ」「地域で支える」と三部作になっていて、私は最後の「地域で支える」で発表させて頂きました。
ピュアで行っている電話相談。医師や病院、制度の紹介だけで済んでしまうケースもありますが、6~7回ぐらいのやり取りがあり、最後の看取り、その後の遺族ケアも含んで支えているケースもあり、そのうちの2事例を発表いたしました。
他に、ガイドブック作成やフォーラム開催、千葉大会のこと、科研費研究でのリーフレット、そしてボランティアや心を育むワークショップ、船橋がんサロンと話をつないていきました。
千葉県全域をみる活動から、支える実践をしたいと、がんサロンを中心とした実践が、少しずつ芽が出てきました。緩和ケアは、最後の亡くなる直前のケアではないはずです。患者の心を支え、エンパワメントを高めていくことが大切ですよね。

質疑応答の中では、実際に地域のネットワークを作りたいと思っている方や急性期病院で退院支援に悩んでいる方、中には行政と一緒に参加されている方から質問が出て、東京の秋山正子さんや福島の海野さんから、実践報告がなされました。
私たちの発表がこれから地域でがんばっていく方々のお役に立てれば嬉しいです。
そうそう、発表後に、千葉県から来られた医師や緩和ケア認定ナースに出会えました。それから、遺族ケアを頑張ってくださっている大阪の医師にもご挨拶ができました。お会いできて嬉しかったです。岩手に呼んでくださった大会長の蘆野先生、実行委員の望月先生、本当にありがとうございました。
帰りに、昨年の癌治療学会でお会いした皆川さんと一緒に、盛岡城跡で紅葉も堪能し、冷麺も食べれて、にこにこで、東京へ戻りました。

2010年11月4日木曜日

第48回日本癌治療学会学術集会に参加して

藤田敦子のひとり言(がん対策・緩和ケア)

2010年10月28日~30日に、京都で開催された第48回日本癌治療学会に参加してきました。昨年も、がん患者・支援者スカラーシッププログラムがありましたが、今年はグレードアップされて、年々、協働の形が整ってきた気がしました。
私は、情報と緩和ケアを中心に回ってきました。
全体的に、パネルディスカションの中で、患者の発表が多く入っており、また、治験に関する映画上映も行われて、医療者と患者の協業の姿勢がたくさん見られました。

アドボカシーラウンジでは、アメリカNCCSのSellers氏が、アドボカシー(権利の主張、弁護、支援)について紹介されました。サバイバーについては、「がん診断後の人生を生きるがん経験者」と言い、「がんとともに、がんを乗り越えて生きる生き方」をサバイバーシップと呼ぶそうです。
自分自身のアドボカシーでは、患者が支援ツールやスキルで自分自身を磨き、自分の意見を医療者や他の人に伝えることができるようにしていきます。これは、日本で言えば、これから出される「がん患者必携」が使えそうな気がします。
地域コミュニティでのアドボカシーでは、地域コミュニティのイベントで話をしたり、がんと診断された人の相談に乗ったりすることだそうです。これも、患者会活動や地域サロンの活動が当てはまると思いました。

最後の公益のアドボカシーは、政策立案者との協調によるがん医療制度の変革や、改善を目指した活動をすることだそうです。これも、今、日本では都道府県がん患者委員が国や都道府県に働きかけを行っています。あさってから、また、がん政策サミットが東京であります
日本においても、少しずつですが、がん患者組織のパワーアップが図られていて、さまざまなステークホルダーとの協働ができるようになってきましたね!




最後の教育セミナーが、緩和ケアと精神腫瘍学だったことに驚きました。メインホールにいっぱいの人がいて、学会の中で緩和ケアを届けると生存率がアップするという発表もあり、その影響も大きいのかと思いました。

早期からの緩和ケア、治療と並行に届ける緩和ケアが進んでいきますね。でも大事なことは、最後まで大切にしてもらえていると感じることなんです。それを忘れないでほしいです。