2010年2月25日木曜日

「小児がん」治る時代と新たな課題

リポーター陽子のがん情報

東京新聞のWEB版に
「小児がん 治る確率高く 聖路加国際病院副院長 細谷亮太氏に聞く」
と題した記事が掲載されました。

――以下、新聞記事を要約
治療が困難だった小児がん。
しかし、いわゆる肉腫と呼ばれる種類のがん
(小児白血病、小児脳腫瘍、神経芽細胞腫など)では
抗がん剤や、抗生物質や輸血といった治療サポートの進歩により
75~80%近くが治る時代。
しかし、治療後20年、30年たってから出てくる副反応
幼い体への放射線治療による発育への支障や
二次がんの発生
また、就学や就職困難などの問題が出てくる。
このような問題解決のための
「長期フォローアップ外来」が国の研究班により進められている。
また、市民ベースでは「ハートリンク」という団体が
小児がんを克服した人のための医療保障のための共済事業を行っている。
――以上、東京新聞(2010年1月22日)より

そして、毎日新聞jpには、次のような報道が

――以下、毎日新聞要約
「ハートリンク」の小児癌を克服した人のための保険が
加入条件を一般の人にも広げた。
加入者が増え掛け金が増えることで
小児がん経験者の生活支援などを充実できることを期待。
――以上、毎日新聞(毎日jp 2010年2月21日)より

“小児がんの多くが治る時代”
という事は、少し前に聞いていましたが
治ってからも、さまざまな問題に直面することがあるとは
想像もしていませんでした。

それにしても
“がん”ってヤツは……
と、ため息が出てきます。

この社会には、本当にいろいろな困り事があります。
そして、いろいろな困り事をサポートしている人も
大勢います。
地域活動を応援する雑誌のために
いろいろな団体を取材していると
その事を、実感します。

一人ができる事は、ちっぽけでも
みんなでできる事は、いっぱいある
楽観的な私は、いつもそう思います。
そんな社会を実現するための第一歩は
社会にあるいろいろな困り事を知る事だと思います。

情報を共有することから、何かが始まることを期待して
「がんいろいろ情報」を発信したいなと思っています。

2010年2月22日月曜日

英国がん患者支援、マギーズ・センターがほしい

藤田敦子のひとりごと(がん対策、緩和ケア)

今日は、「30年後の医療の姿を考える会」主催の『がん患者が自分の力を取り戻せる支援とは? イギリスのがん患者支援、マギーセンターから学ぶ』に行ってきました。

英国というと、ホスピス発祥の地で、チャリティが活発な国として知られていますが、私は、マギーズ・センターのことは初めて知りました。

乳がん患者であったマギー・ケズウィック・ジェンクスさんが、「病人ではなく一人の人間に戻れる、死の恐怖のなかにあっても生きる喜びを感じられる、小さな家庭的な安息所がほしい」「治療法や補完療法についての適切な情報、信頼できる案内人がほしい」と思い、自分の担当だったオンコロジーナース(がん専門看護師)や医師に相談し、彼女が亡くなった後に、このプロジェクトは動き出します。
このマギーズ・センターの特徴は、マギーさんがランドスケ-ププランナーという専門と、夫が建築家であったことから、建物や庭、ランドスケープといった環境も、力になっていることです。

専門看護師、心理士、ソーシャルワーカーによる専門家の支援、そして広報や資金集めをするスタッフがいます。
打ち解けて話がしやすく、くつろげるスペースがあり、不安に対処する方法を自分ひとりでなく見つけられる場所。患者や家族だけでなく、働く医療者に対してもセンターが開かれています。

ちょうど、昨日は石川県で講演が行われて新聞記事になっています。
読売新聞 がん患者支援英国に学ぶ
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ishikawa/news/20100221-OYT8T00103.htm?from=dmst3


イギリスでは、がんセンターの側(日本でいればがん診療連携拠点病院でしょうか)に作られていて、無償の土地提供かごくわずかな料金での賃貸契約があり、建築家の無料奉仕(おお、すごい)、地元メディアを巻き込み、資金調達を行っているようです。

キャピタルコストは、300万ポンド(建築費約200万ポンドと3年間の運転費100万ポンド)、それ以外に歳入費年間25万から35万ポンドかかっています。
へえー、すごいな・・。(1ポンドが今142円ぐらいだから、4億、そして年間3500万から5000万か・・、キャーすごい。一般人には想像もできない額ですね。土地を無償提供してくれる人を探すところから始めるわけですね・・・。13年かかった意味がやっとわかりました・・)
日本には、チャリティの文化はないし、さてどこから始めたらいいのかしらと思うけど、「ほしい」という気持ちがあれば、知恵や人が集まってくるかもしれませんね。

明日から、夢をいっぱい語っていこう。
「ほしい。作りたい」
まったく同じものを作るのは難しいかもしれないけど、でも、マギーズセンターがもつ機能は絶対に必要ですよね。
一度英国に行って、自分の眼で確かめてみたいです。
まずはそこから始めていきます!

チャリティのことも、せっかくそういった団体の会員になったことだし
もっと真剣に勉強していかなくちゃ。

主催者が、日本1号を作られるでしょうから、いろいろ教えてもらえますね。
わーい。なんだか楽しくなってきました。
どこが作ってもいいから、日本に誕生してほしいです。

2010年2月16日火曜日

患者サロンで心のケア 肝炎対策で公費

藤田敦子のひとりごと(がん情報)

千葉大学医学部附属病院と患者会との協働での講演会開催は、今後も続いていくことになりそうです。私たちピュアにも、患者さんや今支えておられる家族もいて、この公式サイトでは、今後、検診や治療に関することを「がん情報」としてお届けしていきます。
リポーターは、ピュア会員の陽子さんです!プロフィールはご本人からお願いしますね。

さて、最初は、私から。
肝炎対策は、患者さんが国会議員になり、大きく動き出しています。肝炎から肝臓がんを発症される方も多く、患者さんたちが勝ち取った成果は、大きなものになりますね。



患者サロンで心のケア 肝炎対策、相互支援も
2010年2月15日 提供:共同通信社


すべてのウイルス性肝炎感染者の支援を目的とした肝炎対策基本法の1月施行を受け、厚生労働省は14日までに、患者同士が治療体験を語り合う「サロン」開設や患者らをカウンセラーに育成する研修など、心理面の支援に2010年度から乗り出すことを決めた。

 厚労省の推計では、B型、C型肝炎患者は計約60万人おり、長期にわたる闘病や周囲の偏見に苦悩する人も多い。厚労省は「悩みを共有し、心を開いた話をすることが精神的負担の緩和につながる」として、治療費助成などの経済的支援に加え、基本法が定める総合対策の一環と位置付ける。

 患者の精神的負担の軽減を目的とした施策には、がん患者を対象に痛みを取り除いたり、心の不安を和らげたりする緩和ケアが知られている。

 厚労省によると、支援策の一つは肝炎治療の拠点となっている各都道府県の病院への患者サロン開設。インターフェロン治療の副作用でうつ状態となる患者も多く、治療の体験談や日常生活のアドバイスなどを気軽に話し合える場を設ける。

 また、病院などの相談員の資質向上のため、患者らを講師とする講習会を実施。患者や家族をカウンセリング能力を持つ「ピアサポーター」として育成するための研修事業なども想定している。 10年度政府予算案には新規事業として「肝炎患者等支援対策」が盛り込まれており、個別の事業は地域の実情に応じて都道府県が実施し、国は年間最大30万円を補助する形になる。

 経済的支援として国は10年度以降、インターフェロン治療に加え、B型肝炎に効果がある抗ウイルス剤治療を助成対象とし、自己負担を月額原則1万円とする方針。東京都内の男性患者(70)は「経済的支援や医療面だけでなく、心のケアにも国が乗り出すことは評価できる」と話している。



※肝炎対策基本法 

国内最大の感染症とされる肝炎の総合対策を盛り込んだ法律。2009年11月に議員立法で成立し、今年1月に施行された。血液製剤が原因の薬害C型肝炎事件と、集団予防接種での注射器の連続使用が原因のB型肝炎事件について「国の責任」を認め、それ以外の感染についても治療費助成などの支援対象とした。厚生労働相が予防や医療提供体制の確保などに関する基本指針を策定し、その際には、患者代表などから任命される対策推進協議会の意見を聴くと定めた。

2010年2月14日日曜日

2010年度診療報酬改定ーがん医療の推進

藤田敦子のひとりごと(がん医療)

2010年2月12日に、診療報酬改定(案)が発表された。

第169回中央社会保険医療協議会資料

がん医療については、下記が記載されていた。
(内容は省略してあります)

◎がん診療連携拠点病院の評価
 (がん診療連携拠点病院加算の引き上げ)500点(前400点)
1.がん診療連携拠点病院であること 
2.キャンサーボードを設置している
 (看護師、薬剤師等の医療関係職種が参加していることがのぞましい)

◎がん診療連携拠点病院を中心とした連携の充実(新設)
1.がん治療連携計画策定料(計画策定病院)750点(退院時)
2.がん治療連携指導料(連携医療機関)   300点(情報提供時)

◎がん治療及び丁寧な説明に対する評価の充実
1.外来化学療法加算の評価の充実
  (外来化学療法加算の評価を引き上げる)
  (介護老人保健施設入所者に対する抗悪性腫瘍剤注射薬の算定
2.放射線治療病室管理加算の引き上げ 2,500点(前500点)
3.がん患者に対する丁寧な説明の評価(新設500点)
 がんと診断され、継続して治療を行う予定の者に対して、緩和ケアの研修を修了した医師及び6か月以上の専門の研修を修了した看護師が同席し、周囲の環境等にも十分配慮した上で、丁寧な説明を行った場合に算定する。

◎緩和ケア・がんに対するリハビリテーションの評価
1.疼痛緩和ケアの充実
 (がん性疼痛緩和指導管理料において、緩和ケアに係る研修修了した医師)
2.入院における緩和ケア診療の評価の充実
 緩和ケア診療加算400点(前300点)
 (がん診療連携拠点病院若しくは準じる病院又は日本医療機能評価機構等が行う医療機能評価を受けた施設)
 (常勤医師が緩和ケアの研修会を終了していること)
3.がんに対するリハビリテーションの評価
 がん患者リハビリテーション料(新設200点)

がん医療としてではないが、関係しているものでは
◎急性期医療に対する後方病床機能の評価
  有床診療所一般病床初期加算(新設100点 7日以内、1日付き)
  医師配置加算の見直し
  入院基本料等加算の拡充
◎明細書発行の推進及び処方せん様式等の見直し
  明細書発行義務化の拡大
◎再診料及び外来管理加算について
  病院と診療所の再診料を統一(69点)
  5分ルールの廃止
  丁寧な問診、懇切丁寧な説明、療養上の疑問や不安を解消
◎地域医療貢献に対する評価
  休日・夜間に患者からの問い合わせや受診等に対応可能な体制を確保
◎疾病の重症化予防に対する適正な評価について
  リンパ浮腫に対して、入院中以外に、退院月または翌日に重症化等を抑制するための指導を再度実施した場合に、1回に限り算定
◎医療療養病棟の評価に係る見直し
 療養病床における後方病床機能の評価
◎在宅医療を提供する医療機関の充実
 在宅移行早期加算
 複数医療機関の在宅療養指導管理料の評価
 在宅療養支援病院の要件緩和
◎訪問診療の評価の充実
 往診料の評価の引き上げ(720点)
 在宅ターミナルケア加算の要件緩和
   死亡に至るまでの間、手厚いターミナルケア(14日以内に2回以上)が提供されていた場合は、在宅以外で死亡した場合であっても、在宅ターミルケア加算を算定可能とする(これにはびっくりしています。モチベーションが下がらないかしら。まあ過程も大事だけど、最後の最後、病院で亡くなってもというのは・・・、遺族としてはちがうよ~と言いたいです。10000点というのは10万で3割だと3万だもの。裾野を広げたい気持はわからないでもないけど、最後に救急車で病院に搬送して、在宅医にありがとうございました、と言えるかしら。詳しい事をちゃんと確認したいです。私の解釈違いでありますように。2000点だけでは、ダメなのかしら)
 乳幼児加算の新設(小児在宅医療)
◎患者のニーズに応じた訪問看護の推進
◎訪問看護におけるターミナルケアに係る評価の見直し
◎入院時の総合的な評価に基づく介護との連携

いや~、今回の改定で、医療がどうなっていくのか・・
緩和ケアが進んだのは嬉しいけど、
なんだか、不安です。

2010年2月9日火曜日

あなたにとって適切ながん治療を受けるために

藤田敦子のひとり言(ピュアの活動)

フォーラムの報告書作成やら仕事やらで忙しく
またまた、ブログ休眠状態でした。

平成22年2月6日(土)千葉大学けやき会館において
市民公開講座 千葉大学医学部附属病院
あなたにとって適切ながん治療を受けるために」が開催されました!

今回、千葉大学(西千葉キャンパス)を拠点として活動している、
がん患者会やピュアなどが企画の段階から一緒になって作り上げていきました。

広報が十分行えなかったのですが、フォーラムの会場で配布、公共の場に
ポスターを貼っていただく、会員への通知など、できる限り、お手伝いをしました。

内容は、ロビーにて患者会による展示
セッション1 「がんの治療法はどのように進歩してきたか」
        「がんの新しい治療法はどのように開発されるのか」
セッション2 「私がこの治療法を選んだ理由」患者体験談
セッション3 患者会・ピュアも参加して総合討論

治験についての情報が満載で、とても勉強になりました。
ひとつの薬が誕生するのに、10年以上の年月がかかること、
治験の後に、承認審査があり、製造・販売に結びつくこと・・。
今、海外に比べて新しい薬が承認されるまでに時間がかかる、いわゆる「ドラッグラグ」の問題について話し合う厚生労働省の検討会が開かれていて、今後、必要性が高く有効だと判断された薬は、迅速に承認する仕組み作りを検討しているようです。
それもこれも、まず、臨床試験(治験)に参加する人がいなくては、前に進みません。

臨床研究を遂行するための3原則があって
人格尊重・・参加者の自主性を尊重する。インフォームド・コンセント
善 行  ・・人に害を与えない、利益を最大に、リスクを最小に
正 義  ・・利益や負担を公平に分配する、公平な手順で被験者を選ぶ

ふむふむ、臨床研究に限らず、すべてに適用してほしい原則だと思いました。
来年も、もっと早くに、ちゃんと告知をしますね!